えぞブログ

記事一覧

チューダー ペラゴス FXD GMTを実機レビュー

チューダーはペラゴスの軍用モデルから派生した最新作を公開した。当初は2021年のFXD マリーン・ナショナーレ(フランス海軍)と2022年のFXD ブラック(通称U.S.N.)を踏襲していたが、今回のペラゴス最新作は、GMT機能とそれに対応する24時間ベゼルを備えることで、FXDをダイバーではなくフランス海軍パイロットのためのプラットフォームとして再構築した結果、当初のコンセプトから大きく離れたものとなった。これに意外性のあるカラーリングを加えることで、やり過ぎだと感じる人もいれば、あと一歩足りないと感じる人もいるが、そのあいだにいる層の人にとっては完璧なチューダーが生まれることになる。

tudor pelagos fxd GMT
ちなみにトラベルウォッチの完全なマニアであり、ペラゴスの大ファンである僕は、ペラゴス39をつけて航空機の14A席でこの記事を書きながら、この新モデルを実際に見てみたいと思った。

同僚のマークがIntroduction記事でこの発表を取り上げており、その記事には詳細なスペックも掲載されているため、ここでは簡単に触れるだけにしよう。ペラゴス FXD GMTのサイズは、幅42mm、ラグからラグまでの全長は52mm、厚さ12.7mmである。FXDがほぼオリジナルの寸法を維持している(クロノグラフモデルは43mm)ので、ほとんどは予想どおりだが、チューダーのGMTモデルであることを考えると、この厚さにはいくつかの背景がある。それについては、のちほど説明しよう。

tudor pelagos fxd GMT
最信頼性の日本スーパーコピー代引き専門店!グレード2のチタンケース、クローズドケースバック、このモデルの特徴である“ハメ殺し”ラグ、そしてペラゴス LHDの温かみを取り入れた配色に加え、(フライヤーの)GMT針にはリッチなオレンジの差し色が施されている。ベージュの夜光は、FXD GMTにおけるもっとも議論を呼ぶ要素のひとつとなっているが、この美学はオリジナルのFXDやブラックバージョンとはまったく異なる印象を与える。一方で、アリンギ・レッドブル・シリーズのカーボンケースにブルーやレッドを用いたモデル、あるいはチューダーのサイクリングチーム向けモデルよりは予想しやすいものとも言える。

当初、プレスリリースの画像を見た印象では、FXD GMTには何か物足りなさを感じていた。レンダリング画像の色合いも、これがペラゴスだというコンセプトも、僕にはあまり響かなかった。それと同時に“これはダイバーズウォッチではないのか?”という疑問が湧いてきた。

tudor pelagos fxd GMT
知ったかぶりなのは自覚しているが、これまでにもダイビングを想定していないペラゴスを見てきたし、FXD GMTがパイロットの使用を意図して開発されたことを考えれば、GMTダイバーズ(200mの防水性能はそのまま)の形式に則ったのは理解できる。というのも、ダイバーズGMT(潜水経過計測ベゼルと24時間計が内蔵されたタイプ)は、ヘリコプターを操縦しながら使用するには手間がかかりすぎるからだ(と僕は推測しているが、実際に試させてくれる人はいない)。ちなみに、ヘリコプターの話はほぼ冗談だ。要するにこれはGMTウォッチであり、ペラゴスでもあるということだ。フランス軍内の特定の用途や背景とのつながりは、多くの時計愛好家にとってはそれほど重要ではないだろう(ちなみに、グリーンのファブリック製ストラップに付属するサイン入りソフトキーパーは、軍章を付けたくなければ取り外し可能だ)。

より多くのタイムゾーンに対応
機能の話に戻ると、24時間ベゼルの利点は別のタイムゾーンを表示する際にリューズで針を操作する必要がない点だ。GMT針をUTCに固定したままベゼルを回転させれば、UTCからの時差(時間単位)に基づいて別のタイムゾーンを簡単に表示できる。このレイアウトでは、UTCを常に確認することも可能だ。機能的に、FXD GMTはブラックベイ GMTやロレックス GMTマスターIIと同等の能力を備えている。

tudor pelagos fxd GMT
余暇にダイビングを嗜む立場から言わせてもらえば、特にダイビングコンピュータのバックアップとして使用するのであればこのベゼルをダイビングに利用することは十分可能だ。ペラゴス好きとしては、ダイバーズウォッチとして設計されていない新モデルが登場するたびに少し驚かされるが、チューダーがペラゴスを現代的なスポーツウォッチデザインの“すべてを盛り込んだ”ようなシリーズへと拡大している以上、GMT機能の追加はそれほど驚きではない(特に、先に触れたサイクリング FXDと比べればなおさらだ)。

GMT機能はチューダーの自社製ムーブメントMT5652-Uに由来している。これはブラックベイ プロに搭載されたムーブメント(“U”はMETASマスタークロノメーター認定を示す)を基にしている点で興味深い。さらに興味深いことに、このムーブメントは最近のブラックベイ 58 GMTに採用されているもの(厚さ12.8mm、MT5450-Uを採用)とは異なる。

tudor pelagos fxd GMT
なぜ興味深いのか? それはブラックベイ プロの厚さが14.6mmであるのに対し、FXD GMTは1.9mmも薄いからだ。この差は腕時計の世界では大きな違いといえる。これはチューダーがムーブメントのパッケージング技術をさらに向上させた結果なのかもしれない(実際、FXD GMTのダイヤルは風防に非常に近い)。あるいは、ブラックベイ プロの厚さは単にムーブメントの厚みだけではなく、ブラックベイ プロにブラックベイシリーズの本質を体現させるための意図的なデザインだったのかもしれない。

ともあれ、薄型化をマイナスに捉える人はほとんどいないだろう。時計愛好家にとって、新しいモデルを評価するときに厚みは欠かせないポイントだ。その意味で、FXD GMTの驚くほど薄いプロファイルは、チューダーにとって大きなアドバンテージになると僕は考える。もしGMTが標準的なFXDよりも2mm厚かったとしたら、市場の反応がどうだったか想像してみて欲しい…。

tudor pelagos fxd GMT
実際に手にしてみると、配色やGMTらしさに対する最初の懸念はすぐに消えた。個人的にはペラゴス 39に近い配色のほうが好みだが、FXD GMTは実物で見ると非常に魅力的で、焼けたような夜光とオレンジのアクセントの組み合わせは、写真で見たときの印象を大きく上回る調和を見せていた。この週末、オリジナルのペラゴス LHDと並べられたFXD GMTを見る機会もあったが、そのカラーリングはLHDに非常によく似ていた。

そう、もし僕がデザインの責任者だったなら、新モデルはもっともニュートラルな配色(ブラック/ホワイトやブルー/ホワイトなど)からスタートし、そのあとでほかの色をラインナップに加えるだろう。ブラックのFXDが成功した例を見れば明らかだ。チューダーは色の選択において非常に明確な意図を持っており、特にスタンダードモデルやダイバーズモデル以外では、もっともオーソドックスな配色から始めることはほとんどない。

tudor pelagos fxd GMT
今年初めのWatches & Wondersで展示された“モノクローム”ブラックベイのような、よりオーソドックスなモデルよりもずっと前に、僕たちはブラックベイのギルトアクセントを見ることができた。初代FXDはブルーダイヤルで登場したが、ブラックベイ 58 GMTはギルトアクセントとレッド/ブラックの配色が採用されている(初代ブラックベイやブラックベイ 58の仕様を忘れないでほしい)。

この配色が大きな魅力だと感じる人もいれば、理想的な配色が登場するのを待つあいだ購入を保留にする人もいるだろう。もちろん、僕はチューダーの未来を見とおす水晶玉を持っているわけではないが、彼らが配色の展開について決まった戦略を持っているわけでもないだろう。初代ペラゴスは何年もかけて複数の配色が登場したが、39については今のところ1色しかない。そのため、この先どうなるかについては、僕の推測も皆さんと同じ程度だ。

tudor pelagos fxd GMT
手首につけてみると、FXD GMTはこれまでに試したどのチタン製FXDとも同じくらいつけ心地がよい。時計本体は低く平らに収まり、フィット感も抜群だ。ラグの長めの形状も、付属の面ファスナー式ストラップでうまく調整できる。繰り返しになるがこれは完全に主観的な話であり、人それぞれの手首の形状次第だ。FXDは僕の理想よりも少し大きめに感じるがそれでも非常に装着しやすく、バランスの取れた美しい時計だ。

FXDのサイズが気にならない、つまり実際に試着してしっくりきたのであれば、FXD GMTに客観的な欠点を見つけるのは難しいだろう。ベゼルは48クリックの双方向回転式で、その操作感はとても心地よい。2種類の夜光(時刻用がブルー、GMT用がグリーン)は明るく、識別が容易だ。また200m防水と日付表示も備えている。それ以外は基本的にFXDの特徴そのままであり、標準的なブラックFXDモデルは、現在世界で最高のスポーツウォッチのひとつだと断言できる。ただし僕のように、もう少し小さくてストラップやブレスレットの自由度が高いモデルを好むならペラゴス 39を選ぶほうがよいかもしれない。

話が脱線した? たぶんそうだろう。個人的にはFXD GMTは僕の理想とするチューダーGMTではないが、それでもきわめて魅力的なモデルであり、これまでのFXDのなかでももっとも気に入っているモデルのひとつだ。39よりも大きい時計を選ぶのであれば、複雑な機構を備えていてもまったく問題ない。

tudor pelagos fxd GMT
競合モデル
最後に、どんな時計も、たとえ人気が高いモデルであってもほかのモデルとの比較を避けてとおることはできない。そこでいくつかの競合モデルについて考えてみたい。FXD GMTは仕様が1種類のみで、価格は65万1200円(税込)。この価格帯には多くの競合が存在する。GMTウォッチの現状については今後別の記事で詳しく掘り下げる予定だが、今回はざっくりとした価格帯でフライヤーGMTに絞って考えてみる。

この価格帯でスポーティなGMTを展開しているブランドは少なく、競争はやや限定的だ。それでも、まず挙げられるのがグランドセイコーだ。たとえば、47万3000円(税込)のクォーツGMTであるSBGN027や、直径44mm、厚さ14.7mmのスプリングドライブGMTである75万9000円(税込)のSBGE201などがある。グランドセイコーのGMTウォッチは幅広く展開されているが、その多くはチューダーよりも価格が手ごろ(クォーツモデルの場合)か、SBGE201のように高価なモデルのどちらかだ。

grand seiko competition
グランドセイコー SBGN027とスプリングドライブ SBGE201。

チューダーより下の価格帯でも検討に値する競合モデルとして、ロンジンを挙げたい。46万7500円(税込)で手に入るハイドロコンクエスト GMTは、41mm幅のケースに伝統的なダイバーズベゼルを備え、見た目も素晴らしく、フライヤーGMT機能を提供している。チタン製ではなく、FXDのように型破りなデザインではないものの優れたGMTウォッチを生み出している名門ブランドの逸品であることに変わりはない。

同価格帯では、ロンジン スピリット Zulu Time チタンモデルも注目に値する。62万4800円(税込)で販売されており、これは以前企画したHODINKEE限定版の通常生産モデルともいえる。直径39mm、厚さ13.5mmと、チューダーよりわずかに厚いが、ラグ間の全長は46.8mmとかなり短い。つけ心地もよく、堅牢なムーブメント、グレード5チタン素材などの特長を備えている。個人的には、これが現時点でチューダーGMTの市場における最強のライバルだと思う。

longines GMT
ロンジン ハイドロコンクエスト GMTとスピリット Zulu Time チタン。

この話をさらに掘り下げると(以前も同じようなことを言ったことがあるが)チューダーの最大の競争相手は、おそらくチューダー自身だという結論に至る。FXD GMTは、初代ブラックベイGMT(多くの時計の基盤を築いた)、ブラックベイ プロ、そしてブラックベイ 58 GMTといった、同価格帯にある非常に優れたモデルと競い合わなければならない。

もちろん、チューダーに競争相手がまったくいないとは言えないが、ブランドが価格設定において非常に戦略的である点は注目すべきだ。FXD GMTのより直接的な競争相手としてロンジンが挙げられるのは興味深いが、これはあくまでロンジンの最高スペックであるチタン製モデルを選ぶという前提で成り立つ話だ。

チューダー ブラックベイ プロ

チューダースーパーコピー代金引換を激安はっきり言えば、いまでは15万円以下でしっかりしたフライヤーGMTが手に入る。その流れをつくり出したのはブラックベイ GMTであり、いまや市場は進化を遂げ、チューダーがGMTマスターIIの空白期間を埋める形で築いた価格帯で地位を維持するために、自らと競争しなければならない状況にある。なんという世界だろうか、そしてGMTファンにとってはなんと素晴らしい時代だろう。

ペラゴスの多様化
これがFXD GMTだ。僕はこのモデルをかなり気に入っている。たとえこれが僕が目を閉じて思い描くチューダー GMTではないとしても、特定の要件に応じてFXDプラットフォームに適切に仕立てられた時計だと思う。個々の時計やフランス海軍とのつながりを超えて、ペラゴスが本質的に、チューダーの現代的なプロフェッショナルラインアップへと進化していることが非常に興味深い。しかもそれは、ダイバーズウォッチという枠を超えたものだ。

tudor fxd GMT
チューダーは、ロレックスが長年プロフェッショナルラインナップのために採用してきた戦略を一部取り入れ、自社の関心領域を反映したモデルを展開しているように見える。ロレックスがエベレスト登頂、ダイビング、パンナム航空のパイロット、洞窟探検などをテーマとして掲げていたのに対し、チューダーはダイビング、サイクリング、セーリング、フランス海軍とのつながりを強調している。そしてロレックスが1950年代にパイロット向けに構築した機能を、チューダーは自社のスタイルで表現して追加したのだ。

では次に何が登場するのだろうか? 僕たちはみな、それを知りたがっている。ペラゴス レンジャー? 冗談だ。ただもしかするとカラーバリエーションが増えるかもしれない。これは全員にとっての理想のペラゴスではないかもしれないが、ペラゴスの夢は生き続け、さらに進化を遂げようとしているのは間違いない。

レッセンス史上、最もコンパクトなデザインのType 9が登場

サンクスギビングの期間、アメリカでカナダの総人口に匹敵する数の七面鳥が消費されるているさなか、レッセンスは新作となるType 9を発表した。本作はコンセプト的には非常にシンプルで、このベルギー発のブランドが発表してきたなかで最小サイズとなる39mm径のケースを有している。

ressence type 9 in tray
Type 9は、Type 8(同ブランドが日本のシェルマンとの協力により素晴らしいエディションも発表したばかり)とより伝統的な形状を持つモデルが融合したようなデザインだ。ケースは丸みを帯びた滑らかな形状だが、Type 8など従来のレッセンスに見られるストラップ取り付け部を覆ったディスコ・ボランテ風のケースとは異なり、一般的なラグが採用されている。

文字盤はグレーとアクアの2種類が用意されており、これまでのレッセンスで最もミニマルなデザインといえる。ファンクションはType 8と同様であるものの、リシャールミルスーパーコピーこのモデルではその機能性がさらに際立っているように見える。本作ではレッセンスの時計として初めて、サーキュラーブラッシュ加工が施された固定式ベゼルに分目盛りが刻まれた。これにより、ケース径が小さくなった以上に文字盤の面積が縮小して見える効果が生まれている。この固定式ベゼルの採用は実に秀逸だ。コンパクトで軽量な時計でありながら、このベゼルが加えるアクセントにより手首の上での存在感をしっかりと際立たせている。さらにベゼルや文字盤に刻まれた針や目盛りにはスーパールミノバが充填されており、たとえ夜間だとしてもその独特な時刻表示の視認性は維持されている。

ressence type 9 in pouch
closeup of dial
side profile of type 9
文字盤は金属的な質感を持つ表面にサンドブラスト風のテクスチャが施されており、内側の時針ディスクを囲む部分は外側のベゼルと調和するようにサーキュラーブラッシュが施されている。レッセンス独自の数字フォントはデザインと非常にマッチしているが、文字盤にレッセンスの手形ロゴが配置されているのは少々気になる。文字盤とケースの比率から見るとこのロゴがやや目立ちすぎており、文字盤上のほかの要素の線の太さと一貫性がないように感じられる。ただしこれはブランドのデザイン言語がすでに非常に強固であるため、ロゴがなくても十分に存在感を示せるという前提に基づく意見である。

ケースはポリッシュ仕上げを施したグレード5チタン製で、直径39mm(非常に短いラグもサイズ感においては考慮に入れるべき)、厚さは11mmだ。ブランドのほかの時計と同様にブラッシュ仕上げの裏蓋がリューズの役割を果たし、時計の巻き上げは裏蓋を時計回りに回転させることで行う。時刻合わせは双方向の回転で行い、刻印によって簡単なガイドもなされている。この時計には20mm幅でメタリックなグレーのテキスタイルストラップが付属しており、その裏地にはカーフスキンを使用。全体的に非常によく作り込まれており、ポリッシュ仕上げのグレード5チタン製のバックルにはレッセンスのロゴが刻まれている。

type 9 strap closeup
type 9 tang buckle
caseback of type 9
この時計を動かすのは、ほかの多くのレッセンスの時計と同様、特許取得済みのROCS(レッセンス・オービタル・コンベックス・システム)9モジュールを搭載し大幅な改造が施されたCal.ETA 2892である。ブランドに改善して欲しいと強く思っていることのひとつに、ローターの回転音をもっと控えめにすることがある。より複雑なモデルを試した際には、機械的な音が視覚的な複雑さと調和していたためそれほど気にならなかった。しかし非常にクリーンなデザインを持つType 9では、ローターの音がかなり目立つ点が全体的な装着体験を若干損なっているように感じた。ただし言うは易し、行うは難しだ。所有してきた時計を振り返ると、チタン製ケースを持つモデルはムーブメントの音を強調する傾向があるようにも思う。

wrist shot of type 9
デザインが簡略化されサイズが小型化されたことでType 9はこれまでのレッセンスで最もエレガントな仕上がりを獲得し、それにより多くの手首にフィットする時計となったことは間違いない。先進的で未来的なデザインと、工業的な魅力を見事に両立させ続けている点には非常に感心させられる。

Type 9はこれまでのレッセンスのなかで最も手ごろな価格を実現しており、その価格は1万2500スイスフラン(日本円で213万7000円)だ。レッセンスを所有するにあたって支払う対価は決して安くはないが、ブランドがより汎用性の高いデザインを目指しつつ、価格を抑える努力をしている点は称賛に値する。ベノワ・ミンティエンス(Benoît Mintiens)氏が指揮を執るこのブランドは製品ラインナップの一貫性を維持しながら力強い進化を続けており、今回のリリースもその例外ではない。この新しいType 9を通じてレッセンスがさらに多くの人々にアピールすることで、より多くの手首にこの時計が巻かれる未来が近づくと確信している。

レッセンス Type 9。グレード5 チタン製ケースを採用。ケースの直径は39mm、厚さは11mm。防水性能は1気圧(飛沫耐性)。ETA製のベースキャリバーにROCS 9モジュールを搭載し、振動数は2万8800振動/時、約36時間のパワーリザーブを備える。付属するストラップはラグ側の幅20mmから18mmにテーパーするデザインで、文字盤の色によって素材が異なる。“グレー”文字盤は現在販売中であり、“アクア”文字盤は2025年2月に販売開始予定。販売価格は1万2500スイスフラン(日本円で213万7000円)。

ヴティライネン、GPHGでの成功が続く理由を探る。

GPHGウィークへようこそ! この小テーマ連載で2024年のジュネーブウォッチグランプリ(GPHG)で入賞した時計のなかから、見逃しがちな4本を取り上げる。本日は、今年のGPHGで“メンズウォッチ賞”を受賞したヴティライネン KV20iを取り上げる。この時計は、その優れた技術と美しさで高い評価を受け、栄誉あるタイトルを手にした。

また1年が過ぎ、カリ・ヴティライネン(Kari Voutilainen)氏がまたもやGPHGで賞を獲得した。そしてまた、彼自身が手がけた時計のなかで、ぜひとも所有したいと思わせる数々の作品が登場した。変わるようで変わらないこの世界だ。昨年、ヴティライネン ワールドタイマーが受賞した際、冗談交じりにこう尋ねた。「これだけ何度も賞を取ると、そろそろ飽きてきませんか?」。彼は控えめな笑みを浮かべ、誰かに褒められたとき特有の照れた様子で肩をすくめただけだった。どうやら飽きることはないらしい。もちろん、私にとっても飽きることはない。

KV20i
私はヴティライネンの時計がとても好きだ。極上スーパーコピー時計代引き専門店そら~そして新作のKV20iも例外ではない。この時計には伝統的な手工芸とムーブメント設計のバランスがあり、それが進化し続ける美しい色彩や美学的デザインと見事に融合している。さらに、ヴティライネン本人の親しみやすさや人柄の魅力も相まって、いつか彼の時計を所有したいという夢を抱かせるのだ。

Kari Voutilainen's 20th Anniversary Tourbillon
プラチナ製のカリ・ヴティライネン 20周年記念トゥールビヨン。

もちろん、いくつかの欠点もある。ヴティライネンの時計はしばしば厚みがでてくる(これについては後ほど詳しく触れる)うえに、顧客が彼のオリジナルデザインをカスタマイズできる範囲が非常に広い。その結果、ユニークピースがときにはあまり魅力的ではない仕上がりになることもある(すべてのコレクターが優れたデザインセンスを持っているとは限らない)。ただヴティライネン氏が自らデザインして製作した時計は特別なものであり、それを変更しようとするのは愚かなことだと思う。今年初めに書いた20周年記念トゥールビヨンを例に挙げてみよう(このモデルは“トゥールビヨン”部門にノミネートされ、ダニエル・ロートのスースクリプションモデルが受賞した)。本作は数字のデザインに至るまで、あらゆる細部が綿密かつ完璧に仕上げられていた。正直なところ、何も手を加える必要はない。ラベルを貼ってそのまま私の家に届けて欲しいくらいだ。

Kari Voutilainen's 20th Anniversary Tourbillon
スティール製のカリ・ヴティライネン 20周年記念トゥールビヨン。

同僚のリッチ・フォードンが、今年のGPHG受賞作の総括で指摘したように、ここ6年間のメンズウォッチ賞はカリ・ヴティライネンとレジェップ・レジェピ(Rexhep Rexhepi)のあいだで分け合う形となっていた。そして今年の受賞によって、ヴティライネンはその記録を7年に伸ばしたのだ。実際、2019年以降だけでもヴティライネンはGPHGで6つの賞を獲得しており、その内訳はメンズウォッチ賞が4回、アーティスティッククラフトウォッチ賞が2回である。さらにさかのぼると、ヴティライネンは2007年以来GPHGで通算11回もの栄誉に輝いている。この数字はGPHGの歴史において最も際立った成功の長期的な記録のひとつといえるだろう。同レベルの成功を収めた独立系時計師としては、2002年から2010年にかけてのF.P.ジュルヌの前人未到の連続受賞が挙げられる。この期間、2007年と2009年を除き、2004年、2006年、2008年には最高賞である金の針賞(Aiguille d'Or)を含む数々の賞を受賞した。そのあと彼らはGPHGへのエントリーをやめたものの、その記録は今でも群を抜いて特筆すべきものとして語り継がれている。

Kari Voutilainen's Minute Repeater Perpetual Calendar
カリ・ヴティライネンのミニッツリピーター GMT。Photo courtesy Kari Voutilainen.

Kari Voutilainen's Minute Repeater Perpetual Calendar
カリ・ヴティライネンのミニッツリピーター GMT。Photo courtesy Kari Voutilainen.

ヴティライネンが金の針賞を受賞するのはもはや時間の問題のように思えるが、審査員たちは革新的で高度な複雑機構に焦点を当てているようだ。もちろんそれはヴティライネンが十分に成し得ることだ。パーペチュアルカレンダーを搭載した彼のミニッツリピーターは、少なくとも写真で見る限り誰もが所有を夢見るような作品だ。またミニッツリピーター GMTもそのひとつで、伝統的なスリーフィンガーブリッジデザインを採用しており、まさに1800年代後半のジュウ渓谷の時計師をほうふつとさせる仕上がりである。

しかしそれはユニークピース(1点もの)であり、GPHGの審査対象とはならなかった。また、ヴティライネンの工房では2022年に製造された時計がわずか60本にとどまっており、これほど高度な複雑機構を備えた時計を大量に生産するのは現実的に難しいと言える。もしかすると彼自身のブランドでの受賞よりも先に、大きな注目を集めているウルバン・ヤーゲンセンの再ローンチによって、金の針賞を手にする姿を目にするかもしれない。

28 Inverse in Steel
ヴティライネン 28 インバースはSS製のモデルで、28tiに搭載されているのと同じムーブメントをもとに作られている。

新作のKV20iは、2019年にGPHGのメンズウォッチ賞を受賞したヴティライネンの28tiをほうふつとさせる。この時計もヴァントゥイット(Vingt-8)に搭載されているCal.28をもとにした“インバーテッド(逆転)”コンセプトを採用しているのだ。商業的にも受賞歴的にも成功を収めたこのアプローチが、今回も見事に功を奏している。要するに、“壊れていないものを直す必要はない”ということだ。ただし、ヴティライネンは28tiに比べてデザイン面でも技術面でも改善を加えている。

最初に目を引くのは、ヴティライネンが多くの人に愛されている通常のギヨシェダイヤルを取り払った点だ。実際、彼自身の作品や彼が手がけるダイヤルメーカー、コンブレマイン社(Comblémine SA)の作品によって、ヴティライネンの時計はますます高い需要を誇るようになっている。このモデルがヴティライネンらしさを味わうなら、まず優れたダイヤルのある1本を手に入れてから選ぶべき時計なのかどうか、迷ったこともある。しかしこの時計の仕上げや構造は驚くほど優れており、オープンダイヤルという選択に文句をつけるのは難しいと言わざるを得ない。

歯車の層と美しくフロスト加工されたグレーのプレートが目を引きつけるが、それでいて多くのオープンダイヤルに比べ視認性をしっかりと保っている点も秀逸だ。ムーブメントは、オリジナルのインバースからいくつか改良が加えられており、特に12時位置の従来のブリッジ(受け板)がテンプ受けに置き換えられたことが大きな変更点である。また巨大なテンプに接続されたダブルホイール脱進機にも調整が施されている。このインバースに採用されている脱進機もとても興味深い。ヴティライネンのすべての時計に共通する特徴であり、アブラアン-ルイ・ブレゲ(Abraham-Louis Breguet)が考案したナチュラル脱進機に由来する、注油不要の設計が採用されている。この設計こそヴティライネンのムーブメントがほかと一線を画すものにしている。

ムーブメントを反転させる設計の課題のひとつは、時刻合わせや通常の時間表示の方向性を調整することである。28tiやKV20iでは、ムーブメントの上部に追加の歯車が配置されており、これが文字盤側に立体的な要素を加えている。この構造は基本的には間接的な輪列であり、これにより分針がぶれないようテンションスプリングが必要となる。またキャノンピニオンを代替し、キーレスワーク(時刻合わせ機構)に接続するための追加の歯車も必要となる。これらの技術的な詳細が難しすぎると感じる場合は、文字盤側でこれらすべてがどれほど美しく調和しているかを楽しめばよいだろう。

文字盤上部に追加の機構が搭載されているため、この時計はヴァントゥイットよりも厚みがある。具体的には11.5mmに対し、13.8mmだ。もっとも薄型時計をつくることはヴティライネンの存在意義ではない。これは、彼がムーブメントを“無限に修理可能”にすることを重視しているためである。ブリッジやほかのパーツを接着剤で固定しない設計を採用するためプレート自体を厚くし、ネジが繰り返し締めたり緩めたりできるだけの十分な固定力を持たせる必要があるのだ。

プラチナ製モデルの裏側には、グレーのフロスト仕上げが施されたブリッジや歯車、さらにキーレスワークとスモールセコンドが美しく配置されている。ただし、28tiに搭載されていたパワーリザーブインジケーターは備わっていない。また28tiよりスケルトン加工がやや控えめになっているが、それについては個人的に気にならない。むしろ視認性が簡素化され、残された部分の仕上げの品質をしっかりと際立たせる構成になっている点が称賛に値する。

厚さが約13.4mmであっても、装着感は非常にいい。ヴティライネンはケースシェイプに細心の配慮をしており、特にミドルケースの下部に配置されたラグや、ティアドロップ型ラグの滑らかなカーブが手首にしっかりとフィットする。また写真では平面的に見えるかもしれないが、実物は十分に視認性が高く、使い勝手に不満を感じることはないだろう。

冒頭(そして上の写真)に写っている別バージョンのKV20iにも気づいたかもしれない。このモデルについてはこれまで共有されたことがないように思う。カリ氏本人が、Watches & Wondersの期間中に開催された独立時計師アカデミー(Académie Horlogère des Créateurs Indépendants、AHCI)の展示会でケースから取り出し、目の前のテーブルに置いて見せてくれたものだ。このバージョンには“ペトロールブルー”のリングと3Nゴールドのグレイン仕上げが施されており、ケース素材にはタンタルが使用されている。さらにこの時計はユニークピースである。

裏側は、プラチナモデル以上にヴティライネンのギヨシェ技法の魅力を際立たせている。アウタートラック部分に広がるブルーグリーンのダイヤル装飾がその美しさをさらに引き立てている。一方でムーブメントの仕上げに関しては(3Nゴールドの仕上げを除けば)ほかのモデルと基本的に同じである。このモデルが何本製作されるのか、あるいはユニークピースとして留まるのかについて、現時点で情報はない。

最後に、ヴティライネンがKV20iの3つ目のバージョン(ふたつ目の公開モデル)を発表した。このモデルでは“チェリー”カラーのオプションが採用され、ケース素材にはチタンが使用されている。個人的には赤をあまり身につけないためブルーのほうが好みだが、このモデルにはまた別の魅力がある。裏側ではアウタートラック部分とギヨシェ仕上げが施されたスモールセコンドのインダイヤルとのあいだに、さらに多くのギヨシェ装飾が施されている点が大きな特徴である。これにより同モデルの魅力が一層引き立っている。

KV20iは決して安価な選択肢ではないが、この価格帯の時計を検討しているのであれば間違いなく考慮に値する1本である。それはGPHGの評価や私の意見だけではなく、この時計自体がその価値を雄弁に語っているからだ。また多くの独立系ブランドとは異なり、ヴティライネンのウェイティングリストには、まだ一定のアクセスしやすさが残されている。リストは長いものの、少なくとも問い合わせには対応してもらえる点は特筆すべきだ。独立系時計製造に情熱を持ち、気長に待つ覚悟があるなら、優先順位を上げるべきである。

ヴティライネン KV20i。直径39mm、厚さ13.38mm、プラチナ製ケース(ブルーダイヤル仕上げ)またはチタン製ケース(レッドダイヤル仕上げ)、30m防水。オープンワークダイヤルにブルーまたはレッド仕上げ。時・分・秒(裏側に配置)表示のヴティライネン自社製ムーブメント搭載。反転構造を採用、1万8000振動/時、パワーリザーブ約60時間。手縫いのテキスタイルおよびカーフスキン製ストラップ。価格はスティール製が11万8800スイスフラン(日本円で約2030万円)、ローズゴールド製が12万1600スイスフラン(日本円で約2080万円)、ホワイトゴールド製とプラチナ製とチタン製が12万4800スイスフラン(日本円で約2135万円)。

  • ご挨拶
  • こだわり創作料理
  • お飲物メニュー
  • スタッフ紹介
  • えぞブログ
  • Web限定クーポン